眠るにはまだ少し早く、何かを始めるにはもう遅い。そんな時間に、飲みものを取りに立つことがあります。

水でもお茶でも、昼間と同じ一杯です。それなのに、静かな部屋へ持って戻ると少しだけ特別に見えます。

選ぶ時間から夜の一杯は始まっている

冷たいものにするか、温かいものにするか。冷蔵庫を開けたまま迷い、結局いつものものを選ぶ夜もあります。

何を飲むかより、いま自分がどちらを欲しがっているか考える時間が大事なのかもしれません。冷えたものですっきりしたい日も、湯気のあるものに落ち着きたい日もあります。

大げさな気分転換ではありません。カップを一つ決めるだけで、続いていた夜に小さな区切りが入ります。

昼よりも音がよく聞こえる

夜の台所では、水を注ぐ音や冷蔵庫の扉を閉める音が少し大きく聞こえます。ほかの音が減っているぶん、いつもの動作が目立ちます。

部屋へ戻り、机にカップを置く音も同じです。その静けさの中で飲むと、急がず一口ずつ進めたくなります。

味が本当に変わったわけではないのでしょう。それでも、周りの速さが変わると、いつものものまで違って感じられるのがおもしろいところです。

飲み終わりを夜の合図にする

夜ふかしには、はっきりした終わりがありません。動画をもう一つ、文章をもう少しと続けているうちに、時間だけが進みます。

カップが空になったら今日は終わり、と決めてみると、時計よりやわらかい合図になります。まだ眠くなくても、片づけて照明を少し暗くするところまでは進めます。

最後の一口を飲んだら、カップを流しへ運びましょう。今夜の続きは、また明日でもかまいません。