部屋の明かりを消すと、さっきまで鏡のようだった窓の向こうが見えやすくなります。
音の少ない時間は、部屋にある小さな気配を受け取りやすくします。明かりを消したあとの窓をすぐ役立つ話へ変えず、そこにある小さな動きから考えてみます。
立派な出来事ではないぶん、説明を整えずに眺められます。その気楽さも日常の話にはよく似合います。
音が少ないと見えてくるもの
遠くの灯りや暗い空を見ても、何かを考えなければならないわけではありません。
静かな部屋では、外の車や冷蔵庫の音まで聞こえます。何もないのではなく、普段は隠れている音が前へ出てきます。
明かりを消したあとの窓を近くで見る日もあれば、気づかず通り過ぎる日もあります。その差は注意深さの優劣ではなく、今日どこへ気持ちが向いていたかを示しているだけです。
ひとりでいる時間は、予定をきれいにこなすためだけのものではありません。気分に合わせて途中で形を変えられるところにもよさがあります。
静けさを寂しさだけにしない
カーテンを閉める前に数秒だけ外を見て、その日の最後の景色にします。
静けさが落ち着かない日は、無理に慣れなくてもかまいません。小さな音を一つ足し、自分に合う間隔へ調整できます。
理由をきれいに説明できなくても、その感触はなくなりません。言葉にできる部分だけを拾い、残りは曖昧なまま置いておけます。
必要なら、あとから音を足す
しばらく過ごしたら、静かなままにするか音を戻すか、そのとき決めましょう。
何かを達成できなくても、その時間に合う速さで過ごせたなら十分です。
読み終えたら、いま目の前にあるものを一つ眺めてみましょう。そこにも短い話の入口があるかもしれません。