窓を少し開けたとき、部屋の紙が一枚だけ動くくらいの風が入ることがあります。

身近なものをきっかけに、忘れていた短い時間が戻ってくることがあります。まずはベランダから入る風が目に入ったときのことを、そのまま一つの読みものにしてみます。

結論がなくても、気になったという事実は残ります。今日はその小さな引っかかりを置いておきます。

小さなものが記憶の入口になる

外へ出なくても、湿り気や冷たさから、その日の空気が昨日と違うことに気づけます。

記憶は順番どおりに戻るとは限りません。匂いや音、手触りの一部から、説明のつかない場面だけが先に浮かぶことがあります。

ベランダから入る風に気づいた理由は、あとから考えてもはっきりしないことがあります。それでも、その瞬間だけ普段の流れから少し外れたことには、小さな面白さがあります。

特別な出来事がない日にも、こうした小さな場面はいくつもあります。言葉にすると短くても、その日の手触りを十分に伝えてくれます。

全部を思い出さなくてもよい

窓を閉める前に一度深く息をすると、部屋の中にも季節の区切りができます。

それがいつだったか思い出せなくてもかまいません。役に立たない断片を持っていることも、日々の面白さの一つです。

ここで見つけたいのは正解ではなく、自分に合う距離です。近くで見る日と、気にせず離れる日があってもかまいません。

一場面だけ、今日へ持ち帰る

浮かんだ場面はメモにせず、今日は少し眺めるだけにしておきましょう。

大きな意味を足さず、目に入ったことをそのまま覚えておくのもよさそうです。

明日も同じようにする必要はありません。次の一回を、その日の気分に合わせて選べばよさそうです。