本にはさんだしおりの角が、出し入れするうちに少し折れることがあります。

わずかな傷やずれは、物を使っていると自然に増えていきます。少し折れたしおりをすぐ役立つ話へ変えず、そこにある小さな動きから考えてみます。

立派な出来事ではないぶん、説明を整えずに眺められます。その気楽さも日常の話にはよく似合います。

きれいでないから目に留まる

きれいなカードではなくなっても、読みかけの場所を示す役目は変わりません。

不ぞろいな部分を見つけると、元へ戻したくなります。けれど使い心地に影響しないなら、そのままでも日々は進みます。

少し折れたしおりを近くで見る日もあれば、気づかず通り過ぎる日もあります。その差は注意深さの優劣ではなく、今日どこへ気持ちが向いていたかを示しているだけです。

名前をつけにくい好みや癖も、暮らしの中では案外よく働いています。理由をきれいに説明できなくても、その選び方はなくなりません。

使えるなら急いで直さなくてよい

折れた部分を戻しすぎず、次に読むページへそのままはさめます。

直すなら、見た目を新品へ戻すより、引っかかる、外れやすいといった困る部分だけで十分です。

理由をきれいに説明できなくても、その感触はなくなりません。言葉にできる部分だけを拾い、残りは曖昧なまま置いておけます。

困る部分だけを手当てする

今日は一度手に取り、まだ使えることを確かめて元の場所へ戻しましょう。

役に立つ結論へ急がず、気になったことを気になったまま眺める日があってもよさそうです。

読み終えたら、いま目の前にあるものを一つ眺めてみましょう。そこにも短い話の入口があるかもしれません。