ポケットや小皿の中で硬貨が触れると、短く乾いた音がします。

わずかな傷やずれは、物を使っていると自然に増えていきます。まずは硬貨が重なる音が目に入ったときのことを、そのまま一つの読みものにしてみます。

結論がなくても、気になったという事実は残ります。今日はその小さな引っかかりを置いておきます。

きれいでないから目に留まる

金額を数える前にも、その音だけで小さなものがいくつかあるとわかります。

不ぞろいな部分を見つけると、元へ戻したくなります。けれど使い心地に影響しないなら、そのままでも日々は進みます。

硬貨が重なる音に気づいた理由は、あとから考えてもはっきりしないことがあります。それでも、その瞬間だけ普段の流れから少し外れたことには、小さな面白さがあります。

名前をつけにくい好みや癖も、暮らしの中では案外よく働いています。理由をきれいに説明できなくても、その選び方はなくなりません。

使えるなら急いで直さなくてよい

帰宅したら決まった器へ移し、音を一日の区切りにすることもできます。

直すなら、見た目を新品へ戻すより、引っかかる、外れやすいといった困る部分だけで十分です。

ここで見つけたいのは正解ではなく、自分に合う距離です。近くで見る日と、気にせず離れる日があってもかまいません。

困る部分だけを手当てする

今日は一度手に取り、まだ使えることを確かめて元の場所へ戻しましょう。

役に立つ結論へ急がず、気になったことを気になったまま眺める日があってもよさそうです。

明日も同じようにする必要はありません。次の一回を、その日の気分に合わせて選べばよさそうです。