誰かの話を聞いていると、「それなら自分にも似たことがあった」と思い出す瞬間があります。共通点が見つかるとうれしくなり、相手が話し終える前に自分の出来事を続けたくなります。
似た話を返すこと自体が悪いわけではありません。ただ、思い出した直後に少しだけ待つと、相手が本当に話したかったところをもう一つ聞けることがあります。
似ている話にも違うところがある
同じ店へ行った話でも、気になったものは人によって違います。混んでいたことを話したい人もいれば、店員の短い一言を覚えている人もいます。
こちらの記憶が先に動くと、共通点だけを見て「わかる」と返したくなります。その返事は会話を近づける一方で、まだ聞いていない部分まで同じだったことにしてしまう場合があります。
「それで、どうなったの」と続きを一度聞いてみると、似ていると思った話が少し違う方向へ進むかもしれません。その違いがわかると、あとで自分の話を置く場所も見つけやすくなります。
思い出したことは少しあとでも話せる
自分の話をすぐ出さないと忘れそうで、急いで口を挟みたくなることがあります。そんなときは、頭の中で短い言葉を一つだけ覚えておけば十分です。
相手の話が一区切りしたところで、「似たことを思い出した」と前置きすれば、そこから自然に話せます。忘れてしまったなら、いま聞いていたことのほうがその場では大きかったのでしょう。
会話は、思いついた順に全部を言葉へしなくても続きます。少し置いてから話すことで、聞く時間と話す時間の境目が見えやすくなります。
聞いていることも返事になっている
うまい言葉を返さなくても、相手の続きを待つことはできます。短い相づちのあとに間があれば、話す側はもう少し進むか、そこで終えるかを選べます。
何も足さない時間は、会話から離れているように見えるかもしれません。けれど、相手が置いた場面をすぐ別の話で覆わないことも、静かな返事の一つです。
似た出来事を思い出したら、まず相手の次の一文を待ってみます。自分の話は、そのあとに残った余白へ置けばよさそうです。