飲みものはもうなくなり、グラスの底に氷だけが残っています。すぐ流しへ運べばよいのに、机の上に置いたまま別のことを始めます。
しばらくすると、氷が動いて小さな音を立てます。静かな午後には、その一音がよく聞こえます。
飲み終わりと片づけの間
カップが空になれば、用事は終わったように見えます。でも氷が残っていると、まだ少し続きを持っているようです。
水になったぶんを一口飲み、また机へ戻します。それを何度か繰り返しているうちに、グラスの冷たさも弱くなります。
片づけを忘れているのではなく、終わりを急いでいない時間です。家の中なら、そのくらいの遅さでかまいません。
氷の音で時間が進んだとわかる
氷は同じ形のままではありません。角が丸くなり、グラスの中で位置を変えます。
時計を見ていなくても、さっきより小さくなったことはわかります。何も起きていないような午後にも、目の前では静かに変化が続いています。
大きな出来事がなくても、時間はきちんと進みます。氷の音は、そのことを少しだけ知らせてくれます。
水になったら席を立つ
最後の一つがほとんど透明な水になると、そろそろ片づけようと思えます。明確な決まりではなく、立ち上がるための小さな合図です。
グラスを流しへ運び、机に残った水滴を拭きます。それだけで、午後の一場面が静かに閉じます。
次のことを始める前に、冷たくなった指を一度タオルで拭きましょう。