新しいノートを開くと、紙とインクが混ざったような匂いがします。何かを書きたくて買ったはずなのに、最初の一行だけはなかなか決まりません。

白いページがきれいすぎると、こちらにもきれいな言葉を求められているような気がします。

一ページ目には役目を決める重さがある

日記にするか、考えごとを書くか、買い物のメモにするか。最初に書く内容で、ノート全体の使い道まで決まりそうに感じます。

けれど、ノートは途中から役目が変わっても困りません。日記の次に献立があり、その次に電話中の落書きがあっても、ページはちゃんと続きます。

一冊を一つの目的だけで使い切ろうとすると、最初のページが少し重くなりすぎます。

小さな間違いがノートを使いやすくする

書き出してすぐ文字を間違えると、残念に思います。ただ、その跡が一つできると、次からは急に気楽になります。

ノートは展示するものではなく、考えの途中を置く道具です。線が曲がり、字の大きさがそろわないほうが、そのとき何を考えていたかはよく残ります。

きれいな状態を守るより、何度も開きたくなることのほうが大切です。

日付と一言だけで始められる

最初に立派な文章を書く必要はありません。今日の日付と、いま飲んでいるものの名前だけでも一ページ目になります。

余白が多く残っても、そのままでかまいません。次に書きたいことができたら、続きを同じページへ足せます。

新しいノートが閉じたままなら、まず「何を書こう」と書いてみましょう。その一言で、白い紙はもう使いかけの場所になります。