季節の変わり目に上着を出すと、ポケットの中から小さなものが出てきます。硬貨、折れたレシート、使いかけのティッシュなどです。

入れたときは必要だったはずなのに、いつの間にか存在を忘れています。

ポケットは一日の一時置き場になる

会計でもらったものを急いでしまい、あとで片づけようと思います。けれど帰宅すると上着を脱ぎ、そのまま次の日を迎えます。

ポケットには、きちんと収納する前のものが集まります。手を空けるための場所なので、入っているものにも急いでいた感じが残っています。

机の引き出しより雑然としているぶん、その日の動きがわかりやすい場所です。

小さなものから場面が戻ってくる

見覚えのない店のレシートを広げると、遠くまで出かけた日のことを思い出すことがあります。硬貨一枚からは何も戻らなくても、それもまた普通です。

すべてのものに思い出があるわけではありません。ただ、忘れていた時間へ偶然つながる入口が混じっています。

ポケットの底は、記録するつもりのなかった一日の保管場所になっています。

空にしてから次の季節へしまう

中身を一度テーブルへ並べると、捨てるもの、戻すもの、少し残したいものが見えてきます。数分で終わる小さな棚卸しです。

空になったポケットを確かめてから上着をしまうと、次に着るときの手触りも軽くなります。

今日着ていた服にも、何か入れたままかもしれません。洗濯の前に、左右のポケットをゆっくり探ってみましょう。